本書では、クライアントの内部メールのCCなどで送信された場合、「関係ないから」と削除するのではなく、その内容をきちんと理解していく事が信頼関係構築になると述べました。
このコラムでは、その前の段階として、普段学ぶことが少なく、事務所運営を行ううえで、もはや暗黙のルールとなっている基本的なメールマナーについて解説していきます。
独自ドメインのメールアドレスを用意する
これからは「事務所・電話・FAX そして独自ドメイン」
先生はどんなメールアドレスを使っていますか。無料で取得できるフリーメールや、インターネットプロバイダーの提供するメールアドレスを使用されてはいないでしょうか。
プライベートで個人的なメールをやり取りするのでしたら問題ありませんが、社会保険労務士として企業とメールのやり取りをする際には、それらのメールアドレスは使わないでください。その理由は以下の通りです。
1.信頼性に欠ける
たかがメールアドレスではないかと、侮ってはいけません。仕事でフリーメールやプロバイダーメールを使って何が悪いのだと思われる時点で、いつまでも個人としての感覚から抜け出せず、企業相手に業務を拡大していく覚悟がないのです。フリーメールから送られた企業のメールなんて、見たことがありますか。大概は、企業の独自ドメインのメールアドレスのはずです。
2. 迷惑メールだと判断される可能性がある
これは先生のメールアドレスが悪いというよりは、世の中のスパムメールがフリーメール等を利用して送られることが多いので、迷惑メールだ!と判断されてしまうためです。メールを送った相手の受信フォルダへ入る前に、迷惑メールフォルダへ入れられてしまうのです。これでは、「送った!」「届いてない!」と、業務外のところで疲れる対応に時間を取られるだけです。
独自ドメインとは
ぜひ、メールアドレスは独自ドメインのものを取得してください。独自ドメインとは、例えば
「mail@horizonworks.co.jp」の@の後が、先生や事務所のオリジナルということです。住所や電話番号のように、独自ドメインは同じものは存在しません。インターネット上の住所と同じだからです。@の前は、好きな数だけ自由に作れますので、事務所の代表アドレス、先生個人のアドレスなど用途に合わせて利用できます。
ビジネスを始める時には事務所・電話・FAXを用意するのと同じように、これだけインターネットが当たり前になった現在では、独自ドメインを用意することも基本的なことなのです。
独自ドメインの取得は敷居が高いと思われがちですが、難しくありません。専門業者でなくても、誰でも簡単に取得できるものなのです。料金はサービス提供会社やドメインの種類にもよりますが、年間で数百円から数千円です。またドメインを取得しておけば、今後事務所のホームページを制作する際にも、そのドメインがURLとして利用できます。(ホームページにはドメインの他に、サーバも必要となります。)
メールマナーについて
メールを利用する上では、常に受け取る側のことを考えて送らなければなりません。
最低限、以下のことに注意していきましょう。
テキストメールで送る
メールには大きく分けて、「テキストメール」と「HTMLメール」があります。テキストメールとはその名の通り、文字情報だけのシンプルなメールです。HTMLメールとは、文字情報の他にも、文字の色を付けられたり、太字にできたり、メール内に画像や写真も挿入できる、装飾メールのことです。
ほとんどの場合普段のメールのやり取りは文字のみで、必要な画像や資料は添付ファイルを利用しています。そのため、ビジネスメールの基本はテキストメールで送ることです。ただメールソフトによっては、初期設定がHTMLメールになっていることが多いようです。
このままメールを作成してしまうと、普通に文字を打っただけのメールも、HTMLメールとして送信されてしまいます。「そうはいっても、きちんと文字は表示されるので、どっちで送っても問題ないのではないか?」と思われたら注意してください。
もしかしたら相手に負担をかけている可能性があります。なぜならば、HTMLメールはテキストメールよりもデータ容量が大きいのです。ただ文字を打っただけでも、その文字自体に装飾情報が付いているためです。文字を送るだけなら、余計な装飾は必要ありません。
データ容量が大きいHTMLメールは、テキストメールに比べて表示に若干時間がかかります。メールは事務所や自宅のパソコンで見るだけとは限りません。外出先でモバイルパソコン、スマートフォン、携帯電話で見る機会もとても増えています。あまり回線速度に恵まれない環境では、無意味に重いHTMLメールは相手にとって迷惑ではないでしょうか。
この機会にぜひ、ご自身のメールソフトの設定を確認しましょう。
添付ファイルに気をつける
添付ファイルを送る時はデータ容量に気をつけましょう。あまりに大きすぎるファイルは、相手も受信ができません。心配な時は該当のファイルのサイズを確認しましょう。一般的には5MB位まででしたら、メールに添付できる範囲です。大容量のファイルを送る際は、あらかじめ相手に確認を取る方が、後々面倒なことにならないでしょう。
また、複数のファイルを送る際は、バラバラとメールに添付することは控えます。2〜3ファイル位でしたら問題ないでしょうか、これが10ファイル前後も添付されていると、受け取る方は手間がかかります。複数ファイルの場合は1つのフォルダへまとめ、フォルダを圧縮して添付した方が親切ですし、容量も軽くなります。
5MB以上のファイルを送る場合は、インターネット上の大容量ファイル転送サービスを利用しましょう。もちろん送る際は、前もって相手に知らせておきます。
大容量ファイル転送サービスの一例
メールには署名を付ける
メールには必ず署名を付けましょう。メールソフトの設定で、自動的に署名を挿入できます。実は署名を付けるメリットは色々あります。
まず、相手が先生の電話番号や事務所の住所を知りたい場合に、メールを見ればすぐに情報が見つかります。メールを読んで詳細を電話で問い合わせたい時など、すぐに連絡できるのは便利です。
次に、署名には名前や先生に関するキーワードが入っているので、相手が後々メールを探す際、検索に引っかかりやすくなります。「○○先生の×××の件のメールを探したい」時、署名に必ず先生の名前があるため、検索の精度が高まります。
また署名は、事務所の連絡先を載せるだけではありません。ホームページ・ブログのURL、mixi・Twitter等のアカウントを知らせたければ、それらを記載しておきます。ただ気を付けたいのは、アピールしたいことが多すぎて、もはや署名の粋を越えてしまうことです。読みやすさと情報量のバランスを考え、本文より署名の方が長いなんてことにならないよう、お気をつけください。
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