真なる解決策の考察
本書では、インターネットでの競合と戦う場合の考え方について述べました。
インターネット上での競合と聞いて想像するのは何でしょうか?
近隣の社会保険労務士や有名な先生が真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、それは大きな間違いです。
社会保険労務士が求められる為には、社労士業界自体の底上げが不可欠ですので、必要な行動は「他社を出し抜く方法」名のではなく「各々の事務所努力によるサービスレベル向上」なのはいうまでもありません。
また、本書では次のように述べました。
<本書より引用>
確かに、自分の飯のタネがインターネット上で明らかにされていては気分の良くない話なのかもしれません。しかし、情報社会を恨んでも話ははじまりません。それよりも、インターネットに情報が乗っていることくらいで困る状況であることを問題視すべきなのではないでしょうか。
例えば、インターネットサービスプロバイダが提供するサービスは僅かな価格の差こそあれ、ほぼ同じレベルです。各社が他社との差別化を図るために取った行動で特徴的なものは次の通りです。
- 初期工事費の無料化
- 利用料金を数ヶ月無料にする
- パソコンやテレビ、あるいはゲーム機を割安で購入できる
「高速な通信速度」というニーズが「多用するインターネットライフを快適にしたい」と変わるにつれ企業努力を継続しているのは、ご理解いただけることと思います。
しかも、インターネット上の競争は、大きいように見えますが社労士業界においていえば、まだまだ局地戦のレベルなのが現状です。業界によっては未だにFAX文化の企業もありますので、インターネットで広告するためにサービスを準備するのは、軽率な行動だともいえるでしょう。
それでは、社会保険労務士が提供するソリューションはどのように構築され、提供していくべきなのでしょうか。
社労士ソリューションの定義として、SR-VISIONSでは以下のように設定しています。
「実行することで問題が解決する、または有効であると企業が期待できなければならない」
問題解決が理想ですが、企業からの協力が無ければ実現は困難です。つまり「価値のあるサービスであること」と「企業がメリットを感じること」が不可欠だといえるでしょう。
ここで2つの例を挙げてみたいと思います。
CASE1:人事労務相談サービス
サービス内容
社労士事務所の所長が月に1回、御社を訪問し、経営幹部や部課長と面談することで組織の人事的な問題点を洗い出します。また、突発的に発生した労使トラブルには柔軟に対応し、万が一監督署対応が必要な場合も月額顧問料で応対いたします。
料金
30,000円/月
このサービスを爆発的にヒットすることが出来るのは「長年のキャリアによって培われた実績と評判による紹介が望める先生」か「書籍やセミナーなどでブランド構築が出来ている先生」のいずれかです。
企業側の意見としては「でも、今までに労使トラブルなんて起きていないし…」「何か問題が起きたら依頼するよ」が圧倒的多数なのではないでしょうか。
CASE2:目標管理&人事評価制度導入コンサル
サービス内容
国内企業での成功事例が少ない「目標管理制度」ですが、当事務所のソリューションは「従業員満足度86%」を達成しています。働きやすい職場環境づくりで組織力をアップさせることで収益性の改善を図ることが出来ます。
料金
300,000円/6ヶ月
目標管理制度(MBO)浸透の困難さを考えると、企業にとって非常に有効なサービスのように思えます。しかし「企業満足度」ではなく「従業員満足度」という点に対して、企業は不安を感じることになるでしょう。
企業側の意見としては「導入して社員のモチベーションが下がったらどうしよう」「30万円の価値があるのだろうか」「人件費が上がってしまうのではないだろうか」などの不安を払拭する必要があるため、ある種の説得営業に陥る可能性は低くないと考えられます。
つまり、社会保険労務士のサービスを組み立てていく前に、以下の点に関しては充分すぎるほどに検討していかなければならないということです。
1.なぜ、自身に依頼しなければならないのか
スキル、実績、業界特化、提携パートナー、ブランドなど様々な要素に基づく理由で、企業にとって「納得感」を表現する必要があります。
2.サービスの有効性を証明できるか
導入後の成果データによる証明、成功率、平均スコアなど数字で示すことが出来なければ「あいまいなサービス」に成り下がってしまいます。また、導入までに費やしたコストを企業も社労士も回収できなければなりません。
3.サービスがシンプルであるか
複雑なサービスの場合「企業に内容を理解させる」という新たな課題を生み出してしまいます。「物を仕入れて、販売して利益が出た」レベルのシンプルなサービス内容を心掛けるようにしましょう。
それでは、どのようなサービスを作るのが、双方にとって最適なのでしょうか。
その答えは次の通りです。
企業価値を上げる情報を提供し、それを成し遂げるために必要不可欠で妥当な料金のサービスを提案する
つまり、本書26ページの2行目に記載しているサービスがこれに該当します。これはまさしく、企業メリットのために「社労士が一肌脱ぐ」という図式が出来やすいために、営業においてもそれほど苦慮することもありません。
差別化の名の下に奇を衒うのではなく、このコラムで述べているポイントを抑えることで、皆様の事務所オリジナルの「真のソリューション」を準備し、クライアントの企業価値を向上させてください。
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