矛盾した価値観を解く
本書で「自分自身のメンタルヘルス対策を考える」と述べたために、先生方の私に対する評価が真っ二つに割れてしまったようです。
肯定的な意見
・確かに金銭的な問題で一喜一憂する事があり、気持ちがブレたまま企業に接しないよう自省したい
・業界の矛盾を客観的に指摘されており目が覚めた
・確かに心を痛めていた時期があった
否定的な意見
・社労士のメンタルヘルスサービスを揶揄する内容である
・社労士でも無い者に言われる筋合いはない
本書で、私は以下のように説明しています。
<本書より引用>
私が携わった中で、ほとんどの問題は「収益構造の改善」で解決します。なぜなら、業績不振はもちろんのこと、業務過多ならば人を雇用し、人間関係にも予算がかけられるならば、ある程度の問題は収束させることができるからです。
日本では「お金を稼ぐことは汚い」という認識の方が多くいらっしゃいます。しかしながら潜在的には「お金を稼ぎたい」という欲求を持っていることも確かです。
この矛盾した価値観を持つことで生まれるジレンマは、人がビジネスをする上での大きな障壁となり、あと一歩を踏み止める要因となっていまいます。
この「お金を稼ぐことは汚い」という考えは、あくまでもバランスが取れていない場合にのみ該当します。自身のみならず、クライアントの収益も同等以上に向上し、クライアントのサービス利用者にもメリットがあるなら、むしろ胸を張るべきではないでしょうか。
つまり、本書で繰り返し説明した「企業価値の向上」の理念を徹底するならば「お金を稼ぐことは社会貢献」だともいえるのです。なぜなら、クライアントが雇用を生む、良質なサービスを展開する、納税額が増える、これらのことに対して負い目を感じる点が皆無だからです。
「就業規則の作成で15万円の価格を提示しにくいのです」
このような相談を受けるケースは少なくないのですが、私は決まって「いくらまで落とせますか?」と質問し、答えの額とその根拠を確認するようにしています。
この質問の回答はさまざまで、参考いただけると思いますので、少しご紹介します。
自信がない
これは、自信はないが社労士なのだからサービス展開をしなければならないという、義務感に苛まれる状況です。
暴力的な意見で恐縮ですが、この場合は「サービスを提供する資格が無い」と断言させていただきます。
専門家として責任を持つべき就業規則の作成において、自信がないのであれば、たとえ報酬が1円でも提供すべきではありません。
価格競争に陥っているから値決めできない
就業規則の作成と42インチプラズマテレビは同じカテゴリですか?と聞き返したくなる回答です。
何のための就業規則なのか?どのくらいの時間コストをかけて社労士が作成するのか?作成後のメリットは?
これらのことを加味して、サービスの価格と価値は算出されるべきです。周りを見ることで決定しなければならない事項は、恐らく何もありません。
企業に対してぼったくりたくない
これは、前述した「矛盾した価値観」をお持ちのようです。「就業規則の作成」だからといって、報酬の内訳が社労士の労働収入だけではありません。
企業にとって重要なのは、社労士がかいた汗の量ではなく、作成後の「企業の価値向上」なのはいうまでもありません。
値段が決められない方は、その後の企業の変化をポイントに算出することをおすすめします。労働問題ならば、リスクヘッジなので「安く」、助成金の申請ならば、直接的なキャッシュインがあるので「高く」というのも一つの目安としては妥当だと考えています。
最後に「社労士は収益を最大化すべきであり、同時に企業価値をも最大化しなければならない」これを結論とし、本コラムを終了いたします。
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