紹介営業マネジメント
本書では、例として税理士の紹介営業において、税理士が自分に案件を紹介するメリットを以下のように挙げています。
<本書より引用>
- 紹介報酬が発生するから
- 自分は何もせずに顧客の満足度が上がるから
- 自分が税務業務や顧問をPRする際に、人事労務サービスを付与することができるから
これは、紹介に対して報酬が発生するケースについての記載ですが、ホライズンワークスでは現在までに52社の紹介者の行動について分析しており、報酬の額や属する業界、あるいは年収(推定年収も含む)によっても紹介数と質が大きく異なっています。
以下は、提携契約締結後、半年間の紹介数と報酬額の測定を実施したものです。
最大紹介者
業種 | 保険代理店 |
---|---|
紹介数 | 15社 |
紹介業務 |
|
総報酬額 | 約400万円 |
※助成金業務は受注後に支給申請まで至ったもののみ計上
業種別紹介数
紹介者の業種 | 提携数 | 総紹介数 | 平均紹介数 | 平均報酬額 |
---|---|---|---|---|
店舗コンサル | 20社 | 52件 | 2.6件 | 4.7万円 |
保険代理店 | 12社 | 60件 | 5.0件 | 8.2万円 |
税理士 | 8社 | 15件 | 1.9件 | 6.2万円 |
行政書士 | 5社 | 21件 | 4.2件 | 10.1万円 |
その他士業 | 4社 | 5件 | 1.3件 | 3.2万円 |
独立支援コンサル | 3社 | 0件 | 0.0件 | 0.0万円 |
その他コンサル | 3社 | 0件 | 0.0件 | 0.0万円 |
上記の結果と、詳細な行動パターンを分析すると、興味深い結果を見ることが出来ました。最も多く紹介してくれた保険代理店の場合、当人の年収は約4000万円と業界内でも高い水準であり、併せてその紹介方法に関しても特筆する事柄がありました。それは、社労士業務を自社のサービスである保険を販売するための「フロント商品」にしているということです。
主に助成金を用いて、保険商品の特徴やリスクヘッジなどに上手く組み合わせて営業することから、紹介案件を生みつつ自社の業績もアップさせています。
同様に、店舗コンサルタントにおいても「キャリア助成金」や「採用関連の助成金」をフロントにしつつ、自社のコンサルティングサービスを販売している場合、紹介数は非常に多いという結果も出ています。
このデータを元に、紹介営業を効果的に生み出すためには「紹介営業のマネジメント」が必要であるという仮説を立てることが出来ます。実際に2つの税理士事務所に依頼し、以下のような条件で紹介提携を結びました。
A事務所
- 既存クライアントの中で、社労士業務が必要な場合に紹介してもらう
B事務所
- B事務所の新サービスとして、社労士業務のチラシを作成し、既存クライアントに配布する
- 上記で作成したチラシを活用し、新規客の営業時に使用する
全く同じ報酬の条件で半年間のリサーチしたところ、B事務所の方が3.2倍の案件を紹介する結果となりました。つまり、提携による紹介営業において、最も重要な事項は「報酬条件」では無く、「紹介の仕方」を管理することだといえるでしょう。
営業をパートナーに依存するのではなく「販促用チラシ」「パンフレット」「サービスのOEM提供」などの販促においても、こちらから具体的な方法を依頼することによって、パートナーが提携自体をビジネスチャンスだと捉えることが紹介営業が機能する不可欠な要因です。
今後、実際に提携を進める場合には、パートナーのクライアントに社労士業務がプラスすることで、どのような相乗効果があるかを熟考しましょう。つまり、紹介営業のビジネスモデルを作ることで紹介効率が最大化するといえるのです。
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