難局を乗り越える営業スケジュール
本書では週40時間の稼動に対し、遂行中の案件の数に応じて営業時間を割り当てなければならないと解説しました。
109ページのスケジュールは、実際にホライズンワークスのクライアント社労士の例です。この事務所は独立後半年して顧問数5件(平均顧問料17,500円)の状態でご相談いただいたので、弊社でご本人を活かした営業戦略を立案し、スケジュールを制作した経緯があります。
他にも数事務所に同様のコンサルティングを実施し稼動させたところ、営業スケジュールを立てることで、以下のような効果が現れました。
ToDoとしての効果
何も無い漠然とした事務所運営の場合、もし業務怠慢に陥っても指摘する人員が存在せず、最終的にクライアントから叱責されて業務終了、となります。そのため、スケジュールを立てることでToDoとしての効果を得ることができます。
習慣浸透の効果
「毎週月曜日は電話営業の日」「第二週水曜日はFAXDMの日」などと、自身の営業をルーティン化することで、リズム良く営業を実施することができ、結果としてコンスタントな業務受注を見込むことができます。
効果測定としての効果
電話営業を週10時間実施し、それが4週間後にほんの数件しかアポイントが取れていないとしたら…、このようにスケジュールを立てることで、きちんとその営業方法が機能しているかどうかを測定することが可能になります。
また、その営業スケジュールを期間終了後、どのように扱っているかにもよって3ヶ月スパンでの営業成績に大きく反映するデータも出ております。
営業スケジュールを3ヶ月以上継続して作成していただくよう社労士の先生に依頼しました。
了承を得られた数十の事務所に対し「毎週ご報告いただければ、フィードバックとアドバイスをします」というオファーを投げかけました。
その後、3パターンのグループに分かれることになります。
- 毎週報告する事務所(80%を超える報告率)
- 時々報告する事務所(30〜80%の報告率)
- 報告しない事務所(30%未満の報告率)
報告しない事務所に関しては、スケジュールを継続して活用しているか不明な点もありますが、性善説で実施していると仮定しることにします。
まず、スケジュール作成を開始した3ヶ月間の営業数に対するアポイント率と受注率を計測し、期間終了後に更に3ヶ月間の同値を収集しています。その結果「営業時のアポイント率」と「業務受注率」において以下のようなデータが抽出できました。
グループ | 1〜3ヶ月の アポイント率 |
1〜3ヶ月の 業務受注率 |
4〜6ヶ月の アポイント率 |
4〜6ヶ月の 業務受注率 |
---|---|---|---|---|
毎週報告する事務所 | 3.2% | 1.1% | 6.2% | 2.5% |
時々報告する事務所 | 5.7% | 1.5% | 5.9% | 1.7% |
報告しない事務所 | 2.8% | 0.8% | 2.2% | 0.7% |
※開業2年以内、延べ61事務所対象による調査
導入当初「時々報告する事務所」グループに営業力のある事務所が固まってしまいましたが、数字の伸び率を見ていただければ、効果が明確にお分かりいただけると思います。
「毎週報告する事務所」グループは圧倒的に数字の伸び率が良い結果です。この要因としては、スケジュールを上手く活用し、PDCAまで実施している点、そして3ヶ月のスケジュール作成期間終了後も継続している点が挙げられます。継続はもちろん力なりですが、効果測定あってこそなのはいうまでもありません。
さて、それでは「営業スケジュールを立てていけば、受注率はどこまでも上がるのか?」という疑問がでてくると思います。この疑問に関して、ホライズンワークスでは社会保険労務士の様々な営業方法に対して、それぞれ「限界営業効率」があると考えています。
たとえば「事務所コストをペイする報酬」を条件とする場合、電話営業ならばアポイント率は10%程度だと推測しています。つまり、どんなに良いサービスであっても、電話営業ならば10本に9本は断られてしまうということです。
そのため、アポイント率が100%になることはあり得ませんが、業務受注により利益モデルが構築できると、確率は下がるもののもっと規模の大きい広告活動ができるようになります。これは時間を掛ける営業を止め、事務所の知名度を上げながら営業する方法を実施することを意味します。
このように最初は地道なToDo管理も「収益構造」を組み立てるための最初の一歩だといえます。ぜひ本サイト「書籍ツールダウンロード」のコーナーから営業スケジュールをダウンロードいただき、ご活用ください。
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